2026年6月|生命樹vol.1
2026.06.01
アジアを旅するなかで、心惹かれて集めてきた布の模様に、ある共通した構図があることに気づきました。それが「生命樹」であることを教えてくださったのは、ジャカルタでお会いしたアドナン・英子・クスマ氏でした。同氏については、また改めてご紹介する機会を設けたいと思います。「生命樹」は、地域や民族、宗教を越えて、アジア各地の染織に見ることのできる象徴的な文様です。生命そのものへの探求にもつながるかのような、そのシンプルで奥深い構図に触れたとき、私は何かに導かれるようにアジアを旅している気持ちになったものでした。
暑い土地では、木陰は人々に安らぎを与えてくれます。実を付け、花を咲かせ、人よりも長く生きる樹木には、鳥や獣たちも集います。描かれる樹木は、その土地ごとの象徴的な樹木でありながら、「豊穣」や「長寿」への祈りが込められているという点は、どの地域にも共通しているように感じます。人類は樹木を利用することで都市を築き、文明を発展させてきました。その一方で、それが自然破壊の始まりでもあったと言われています。布に描かれる生命樹の文様には、自然と共に生きようとする人々の願いと、自然と調和した美しさが表現されているようにも感じられます。
私が生命樹の文様を集めていることを知る友人や知人たちが、旅先で布を見つけて届けてくれることもあり、コレクションは少しずつ増えていきました。復元に成功した作品もあります。また、生命樹から発展した百花繚乱の意匠なども含め、長年にわたり多くの作品を蒐集してきました。展示を重ねるなかで、新たな持ち主のもとへ旅立っていった布もあります。
アジアの染織に描かれる生命樹のコレクションを通して、美しく描かれた樹木と、人々の素朴な祈りを、多くの方に感じ取っていただければ幸いです。
古賀るみこ(RMKK+管理人)

作成1999年頃

2011年
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■次回2026年7月予定■
ジャワ更紗に描かれる織模様
Nitik-patola-inspired dyed patterns.
■2026年8月予定■
『海の道』伝え合った文化
Sea Routes of Textile Exchange